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耳鼻科の話③ 鼻副鼻腔炎1

[2025.02.06]

みなさまこんにちは

 

ものすごくお久しぶりですが、今回のブログは耳鼻科の話

 

開院して丸1年経ちますが、ようやく3つ目です、笑

 

 

今回は『鼻副鼻腔炎(びふくびくうえん)』について

 

12月から1月にかけてインフルエンザの流行もあり、その後に副鼻腔炎様症状で受診する方も多かったと感じております。

 

私も少し前に副鼻腔炎になったことをブログで報告しておりました。

 

そもそも鼻副鼻腔炎とはなんなのでしょう。蓄膿(ちくのう)とも呼ばれてますよね。

 

外来診察で、「副鼻腔炎ですね」とお伝えしてご理解いただける方と、「蓄膿とも言いますよ」とお伝えして「あ〜!蓄膿ね!」とご理解いただける方もおりますので、一般的にはどちらが浸透しているのかなんとも言えませんが・・・

(チクナインという市販薬もありますし・・・)

 

正式には『鼻副鼻腔炎』です。

 

定義としては『鼻副鼻腔の炎症により,鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽などの呼吸器症状を呈し,頭痛,頬部痛,嗅覚障害などを伴う疾患』とされております。

 

なんだか難しい表現ですが、要するに『鼻副鼻腔炎とは、鼻水がでたりのどに落ちたり、鼻がつまったり咳がでたり、頭が痛くなったり、ほっぺたが痛くなったり、匂いがしなくなる病気』ということです。

 

さらにこの鼻副鼻腔炎は急性と慢性に分かれ、

 

急性副鼻腔炎:発症後4週間以内

慢性副鼻腔炎:発症後12週以上

 

とされております。

 

「あれ?4〜12週は?」と思われたみなさま。

 

国内では4〜12週の間は「急性副鼻腔炎からの治癒過程であったり、慢性副鼻腔炎への移行するものが混在している」とされておりますが、海外ではこの期間を亜急性副鼻腔炎と呼んだり、発症後12週までを急性副鼻腔炎と呼んだりするようです・・・

 

定義なんで仕方ないですが、なんだかスッキリしないですよね・・・

 

さて、定義の説明が終わったところでまずは解剖学的な説明から。

 

「そもそも鼻腔・副鼻腔って何?」という方もおられると思いますので

 

こちらのイラストをご覧ください

鼻腔とはみなさんの想像する鼻の中、鼻からのどへの通り道のことで、副鼻腔とは鼻腔から狭い通路でつながっている骨の空洞です。

 

その副鼻腔にはほっぺたあたりにある上顎洞(じょうがくどう)、ひたいの部分にある前頭洞(ぜんとうどう)、目と目の間にある篩骨洞(しこつどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)に分かれます。

 

そこに炎症が起こったり膿が溜まってしまうのが副鼻腔炎というわけです。

 

なんとなくわかってきたでしょうか。

続いては副鼻腔炎の症状に関してです。

 

鼻副鼻腔炎の症状のイメージはどんなものでしょうか。

 

当院に来院された鼻副鼻腔炎の患者さんの症状を聞くと、

 

・顔が痛い(頬、目の奥)

・鼻の中がくさい

・黄緑色の鼻水が出る

 

が多いような印象です。

 

実際に副鼻腔炎で起こる症状をあげてみます。

 

①鼻水、鼻水がのどにも落ちる感じ

②鼻づまり

③においの異常

④顔面痛・頭痛・頭が重い・圧迫感

⑤せき

⑥発熱

⑦だるさ、集中力の低下

⑧顔面の腫れ・目の異常

 

こんなところでしょうか。あてはまる項目がいくつかある方は耳鼻科受診を検討してみてください。その際はぜひ当院へ!

 

次は検査についてです。

 

みなさんが「副鼻腔炎かな〜?耳鼻科でみてもらおう」と耳鼻科を受診された場合、どのような診察・検査を受けるでしょうか。

 

まずは問診です。

 

鼻水の状態、後鼻漏、痛み、痰、咳、症状のある期間などいろいろなことを確認します。検査が難しい小児などでは症状から診断をつけることもあります。

 

続いて検査です。検査としては

 

①鼻鏡・鼻腔内視鏡検査

②画像検査(レントゲン・CT・MRI)

③鼻汁の細菌検査

④採血

⑤組織生検(鼻茸の病理検査)

 

などを行うことあります。

 

主に①・②を行うことが多いでしょうか。

(抗菌薬の感受性をみるために③を積極的に行う先生もおられるかと思われます)

 

それでは①・②についてみていきましょう。

 

①鼻鏡・鼻腔内視鏡検査

 

鼻鏡とはこんなものです。

 

鼻の中をぐいっと広げるやつです。

 

鼻の中の何をみているのかというと・・・

 

・鼻中隔(鼻のついたて)の曲がりの有無

・鼻汁の性状(色・量・粘稠度など)

・粘膜の色調や腫れ

・鼻茸の有無

・腫瘍性病変の有無

 

ぐいっとされたほんの1〜2秒ほどでこの辺をしっかりと確認しております。

 

ただ、この検査では鼻の奥までは確認が難しいので・・・

 

鼻茸がありそうな方、腫瘍が疑わしい方は次の鼻腔内視鏡検査を行います。

 

鼻腔内視鏡検査

 

 

耳鼻科には必須の機器になりますが、胃カメラとは違い、鼻の中にスプレーの麻酔を行うことで鼻から喉までしっかりと診察ができます。

 

 

こんな小さなアンパンマンでもこんなにしっかりとみることができます、笑

 

当院では直径わずか2.6mmの内視鏡を導入しておりますので、お子さまでも痛みが少なく検査が可能です。

 

②画像検査(レントゲン・CT・MRI)

 

続きまして画像検査です。

 

通常、副鼻腔炎を疑った場合は画像検査を行います。

 

最も行うことが多いのがレントゲンになります。

 

 

こんな感じでうつりますが、簡単にいうと副鼻腔の黒くみえる部分が白くなると副鼻腔炎の診断となります。

 

検査料金は3割負担で630円と安めですが、信頼度は残念ながらイマイチなこともあります。(検査料金は2025/2時点)

 

というのも、上顎洞や前頭洞は比較的わかりやすいのですが、目と目の間の篩骨洞やさらに奥の蝶形骨洞に関しては限界があります。

 

続いてCTです。

 

 

こちらは私が以前副鼻腔炎になった時に撮影したCTです。

 

上の写真のようにCTは3方向での確認ができるため、検査料金は3割負担3390円と高めですがほぼ確実に診断ができます。(検査料金は2025/2時点)

 

目の奥が痛い、頭痛がひどい、においがしない、鼻茸・腫瘍があるなどの場合は最初からCTを提案することもあります。

 

MRIに関しては腫瘍を疑う場合、片側の副鼻腔炎が長引く場合などに検査を行います。

 

 

画像検査に関してはこんなところでしょうか。

 

だいぶ長くなりましたので今回はこのへんで終わります。

 

次回は急性副鼻腔炎に関して少し掘り下げてみようと思います。

 

本日もありがとうございました。

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