耳鼻科の話① 耳掃除ってしていいの?
みなさまこんにちは
お待たせいたしました。お待たせしすぎたかもしれません。
いや、誰も待っていないかもしれません・・・笑
今日は真面目なお話です。
タイトルからもわかるとおり『耳鼻科の話』です。
需要があるのかどうかはさておき、今後もこの『耳鼻科の話シリーズ』は続けるつもりなので最初にお断りしておきます。
医師にはいろんな人がおり、それぞれいろんな考え方を持っています。
このブログで書いていることはあくまで一耳鼻科医である私の個人的な意見であることをご理解ください。
「さぶさわ先生のブログにこんな風に書いてあったんですけど〜」なんて他の耳鼻科の先生に言って嫌な顔されても知りませんよ、笑
はい、それでは第1回目の『耳鼻科の話』です。
まだ開院して2ヶ月ですが、1番聞かれた『耳掃除』の話題です。
Q1:耳掃除はしちゃダメだって聞きますけど本当なんですか??
けっこう聞かれます。You tubeで言ってた、テレビで言ってたなど・・・
私の答えとしては「したかったらしてください」です。
ダメっていう耳鼻科医ほど自分ではしてたりして・・・
少し説明させていただきます。
⚫︎大人の場合
したいときにすればいいと思いますが、耳掃除のしすぎで外耳炎になった経験がある方や、皮膚疾患を患っているなど体質的に皮膚の弱い方はあまりやりすぎない方がいいと思います。
自然に耳垢は出てくるからやらなくていいよね、なんて話もあります。
湿った耳垢「あめ耳」の方は綿棒などで押し込んでしまうことがありますので詰まった感じがあれば耳鼻科受診で取ってもらうことをお勧めします。
そして、奥まで入れすぎないこと。極端な例ですがこうなることも考えられます。
ちなみにアメリカの耳鼻科学会のガイドラインでは以下のような記載がありました
『外耳道の炎症や感染の原因となるため耳掃除はやりすぎないこと。綿棒、ヘアピン、つまようじなどは耳を傷つけることがあり、外耳道損傷、鼓膜穿孔、耳小骨偏位が生じて聴力低下、めまい、耳鳴りなどを招く恐れがある』
耳かき好きのみなさま、やりすぎにはご注意ください。
⚫︎子供の場合
小さいお子さんはあまり無理をしない方がいいと思います。
急に動いてしまったり、ペットが飛びかかってきたりなど、耳から血が出て受診されたお子さんを何人もみてきました。
ただ、じっとしてられるお子さんで、手前にあって取れそうであれば取ってしまってもいいと思います。
よく見えない方は写真のように耳たぶを後上方に引っ張り上げると少しみやすくなります。
耳掃除にストレスを感じるようであれば耳鼻科にかかるのもいいと思いますのでその際はご相談ください。
Q2:綿棒はダメって言われるんですけど本当にダメなんですか??
これもよく聞かれます。
むしろ竹や金属の方が危ないです。
若年発症の外耳道癌では綿棒より竹・金属の割合が多いというような論文もありました。
耳掃除をしたから癌になるというわけではありませんが、先端が鋭利なもの、硬い耳かきなどは皮膚を傷つけてしまうのであまりお勧めしません。
耳の皮膚は皆さんが想像しているよりずっと弱いです!
耳の手前側は0.5-1mm,奥は0.2mmほどの厚さしかありません。簡単に傷つきます。
こんなもので掃除をしている耳鼻科の先生もいましたが、さすがにみなさんは真似しないでください・・・
Q3:どのくらいで耳鼻科に通院すればいいんですか?
これもよく聞かれます。
必ずしも取る必要はないかもしれませんが、塞がっているような状態だと取ってもらった方がいいかもしれません。
外耳道の病気がない方になりますが、半年に1回くらいでしょうか。
ただ個人差がありますので、その都度たまり具合をみてかかりつけの先生に相談してみてください。
耳掃除のしすぎで外耳炎などになった場合、耳だれ・難聴・痛み・かゆみなどの症状が出ることがあります。
かゆみがひどい時はステロイドの軟膏や点耳薬を用いることでかゆみを抑えることも可能です。
気になった場合はあまりいじらずに耳鼻科に相談されることをお勧めいたします。
いかがでしたでしょうか。
少しでも疑問が解消されれば嬉しいですが、他に疑問があれば外来受診時など質問いただければお答えいたします。
本日もありがとうございました。