外リンパ瘻
外リンパ瘻とは、内耳にある「卵円窓」や「正円窓」と呼ばれる膜が破れ、内耳のリンパ液が中耳に漏れ出す病気です。難聴、めまい、耳鳴りなどの症状が現れます。
原因
外リンパ瘻の原因は様々ですが、以下のようなものが考えられます。
- 外傷: 耳への強い衝撃や打撲、耳掃除などによる傷口から細菌が侵入するのが最も多い原因です。
- 気圧の変化: 飛行機搭乗やダイビングなどによる気圧の変化が原因となることがあります。
- 内耳の病気: 中耳炎や突発性難聴などの内耳の病気によって、卵円窓や正円窓が破れることがあります。
- その他: 遺伝的要因や自己免疫疾患なども原因となることがあります。
症状
外リンパ瘻の症状は、個人差が大きいのが特徴です。外傷後、ダイビング、飛行機搭乗、はなかみ、くしゃみ、力みなどの後に症状が出ることもあります。
- 難聴: 突然の難聴や、進行性の難聴、耳鳴りなどが現れることがあります。
- めまい: 回転性めまい、立ちくらみ、ふらつきなどが現れることがあります
- 流水耳鳴: 水の流れるような耳鳴が現れることがあります。
- 瘻孔症状:外耳、中耳の加圧や減圧で症状が悪くなることがあります。
- 平衡障害: ふらつきや、まっすぐ歩けないなどの平衡障害をきたすことがあります。
- 頭痛: 頭痛や肩こりなどの症状が現れることがあります。
- ポップ音:パチっという音(pop)を伴うことがあります。
診断
外リンパ瘻の診断は、症状と聴力検査、平衡検査などの結果に基づいて行われます。
- 症状: 難聴、めまい、耳鳴り、平衡障害などの症状があるかどうかを確認します。
- 聴力検査: 聴力検査を行い、難聴の程度や種類を確認します。
- 平衡検査: 平衡検査を行い、めまいや平衡障害の原因を探ります。
- 画像検査: CTやMRIなどの画像検査を行い、内耳の奇形などの異常がないかを確認します。
- 検体採取:外リンパに特異的なタンパクである Cochlin-tomoprotein(CTP)が中耳洗浄液から検出されるかを確認します。
- 手術:鼓室開放や内視鏡で外リンパ、髄液の漏出や瘻孔の存在を確認します。
治療
外リンパ瘻の治療は、保存的治療と外科的治療の2つに大きく分けられます。
保存的治療
- 頭部挙上としてベッド上安静とします。瘻孔の自然閉鎖を待ちます。安静のため入院とすることもあります。
手術治療
- 安静で改善がない場合、難聴などの症状が進行する場合は手術により瘻孔部分の閉鎖を行います。ただ手術でも瘻孔部分がはっきりわからずに何度も手術となる場合もあります。
疑われる症状が出た際は早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。