顎下腺腫瘍
顎下腺は下顎の下にある大唾液腺の一つです。顎下腺腫瘍は、唾液腺腫瘍の中で耳下腺腫瘍についで多く見られます。比較的まれな腫瘍ですが、良性と悪性があり20%〜50%が悪性との報告もあります。
顎下腺腫瘍の種類
良性腫瘍:多形腺腫が最も多く 顎下腺腫瘍の中で最も頻度が高く、約60%程度を占めます。
悪性腫瘍:腺癌、腺様嚢胞癌、唾液腺導管癌、粘表皮癌、扁平上皮癌、多形腺腫内癌など多彩な組織型を取ることがあり、治療法も異なることがあります。
顎下腺腫瘍の症状
顎下腺腫瘍の主な症状は、顎下部にできる腫瘤です。腫瘤は、数ミリから数センチ大まで様々で、痛みを伴うこともあります。その他にも顔面のしびれ、開口障害、嚥下障害など多岐にわたります。
顎下腺の周囲には舌神経、舌下神経、顔面神経下顎縁枝などがあり、悪性の場合はしこりや嚥下時の違和感以外の症状も出てくることがあります。
顎下腺腫瘍の診断
顎下腺腫瘍の診断は、触診、超音波検査、画像検査、細胞診、組織診などの結果に基づいて行われます。
- 症状: 腫瘤の大きさや硬さ、痛みなどの症状について詳しく問診します。
- 触診: 腫瘤の大きさや硬さ、位置、可動性などを確認します。
- 画像検査: 超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像検査を行い、腫瘤の大きさや位置、周囲組織との関係などを詳しく調べます。
- 細胞診・針生検: 針を刺して腫瘤の一部を採取し、細胞診検査を行います。細胞診検査で細胞の種類を調べ、良性か悪性かを判断します。
顎下腺腫瘍の治療
顎下腺腫瘍の治療は、腫瘍の組織型と進行度によって異なります。
良性腫瘍
顎下腺腫瘍がある場合、細胞診や組織診での結果が良性であっても手術で摘出を行い確定診断を行うことが多いです。
細胞診や組織診で良性と結果がでても腫瘍全体をみると低悪性度の腫瘍と診断されることもあるためです。
多形腺腫の場合は再発の可能性があるため、長期間の経過観察が必要となります。
悪性腫瘍
悪性腫瘍の場合は手術での摘出、リンパ節を含めた摘出、顔面神経も含め合併切除などを行うことがあります。
ほか、病理検査次第では化学療法や放射線治療、抗ホルモン療法などを行うことがあります。
顎下部のしこりがある方は早めに耳鼻科への受診をお勧めいたします。