持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は、2017年に提唱された比較的新しいめまいです。3ヶ月以上続くふわふわ感やふらつきが主な症状で、立位や歩行、視覚刺激によって悪化することが特徴です。
原因
PPPDの原因は完全には解明されていませんが、前庭系と視覚系の情報伝達の乱れが関係していると考えられています。具体的には、以下のようなメカニズムが考えられています。
- 前庭系の機能障害: 内耳にある前庭系は、平衡感覚に関わる重要な器官です。前庭系の機能が低下すると、平衡感覚が乱れ、めまいが生じやすくなります。
- 視覚情報の過敏性: 視覚情報は、平衡感覚にも重要な役割を果たします。PPPD患者では、視覚情報に対する感受性が過敏になり、視覚刺激によってめまいが生じやすくなると考えられています。
- 脳内の情報処理異常: 前庭系や視覚系から脳に送られた情報が、正しく処理されないことによって、めまいが生じると考えられています。
症状
PPPDの主な症状は以下の通りです。
- ふわふわ感やふらつき: 3ヶ月以上続く、雲の上を歩いているようなふわふわ感や、地面が沈むようなふらつき感などが特徴です。
- 立位・歩行時の悪化: 立ったり歩いたりすると、症状が悪化することがあります。
- 視覚刺激による悪化: スーパーの陳列棚やスマホのスクロール画面を見るなど、複雑な模様や激しい動きのある映像を見ると、症状が悪化することがあります。
- その他の症状: 頭痛、耳鳴り、吐き気、不安感などの症状が現れることもあります。
診断
PPPDの診断は、症状と経過、その他の検査結果に基づいて行われます。
- 症状: 3ヶ月以上続くふわふわ感やふらつき、立位・歩行時の悪化、視覚刺激による悪化などの症状があるかどうかを確認します。
- 経過: 急性前庭めまいを発症した後、3ヶ月以上症状が持続しているかどうかを確認します。
- その他の検査結果: 脳梗塞や脳出血などの他の病気が原因ではないことを確認するために、CTやMRIなどの画像検査を行います。
治療
PPPDの治療は、症状を緩和することに重点が置かれます。
- 運動療法: 前庭リハビリテーションと呼ばれる運動療法が有効です。首や目の運動、バランス訓練などを行い、前庭系と視覚系の情報伝達の改善を目指します。
- 薬物療法: 抗不安薬や抗めまい薬などが症状改善に効果がある場合があります。
- 心理療法: ストレスや不安が症状を悪化させている場合は、心理療法が有効な場合があります。
生活習慣の改善
規則正しい生活習慣を心がけ、十分な睡眠と休息を取るようにしましょう。また、適度な運動や、趣味を楽しむことも効果的です。
PPPDは、適切な治療によって症状を改善することができます。 めまいの症状でお困りの方は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。